「日本滅亡」を忘れないための全国民必読の書 ~ 「メルトダウン」 大鹿靖明 著 読書感想文

既に忘れている人もいるのかもしれないが、この国は、1年前、滅亡しかけていたわけです。

人口1億2千万人の国が地上から消滅する寸前にまで追い込まれた、その恐怖の事態が、どうして起きたのか。
それは本当に防ぐことができなかったのか。

それについては、政府、国会、さらには民間で調査委員会が立ち上がり、さまざまな角度からの検証が行われているけれど、その一つの試みと言えるのが本書。
筆者は朝日新聞記者だけれど、現在は「アエラ」編集部に出向しているみたい。
(池田信夫先生によると(http://agora-web.jp/archives/1429806.html)、朝日の中でも、この本の筆者だけは事実に即した記事を書いてきたのだそうです。)

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%83%89%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85-%E5%A4%A7%E9%B9%BF-%E9%9D%96%E6%98%8E/dp/4062174979
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目次より

第1部 悪夢の1週間
第1章 3月11日午後2時46分
第2章 全電源喪失
第3章 放射能放出
第4章 原発爆発
第5章 日本崩壊の瀬戸際
第6章 まだそこにある危機

第2部 覇者の救済
第7章 緊急融資
第8章 救済スキーム
第9章 潰された自由化
第10章 インナーの攻防

第3部 電力闘争
第11章 仕組まれた原発停止
第12章 サミット 深夜の激論
第13章 菅降ろし
第14章 政権崩壊


読んでいて、あまりにも暗然たる思い。
言葉を失うしかないのです。

いったい、これはどうしたことか。

虚構の「安全神話」の下、対処すべきリスクという現実から目を背け、やるべきことをやってこなかった、あまりにもひどい無責任体制に、ただただ絶句。

もちろん、本書に書かれていることがすべて真実なのかどうかはわからない。
立場によって異なる見方ももちろんあるでしょう。
特に、政治家の行動についての評価は、簡単ではない。本書の記述に異論がある方もおられるはず。
その意味からも、この「事件」(間違いなく、人類史上に残る大事件なのです。)については、いろいろな人たちによる、さまざまな角度からの検証が必要ではないか。
きっと、もっともっとたくさんの事実が埋もれているのではないだろうか。
それを、これから発掘し、歴史の法廷に引きずり出さなくてはいけない。
それが、人類史上に残る大事件を引き起こしてしまったこの国の使命なのではないだろうか。
そういうことを感じさせる書だったのです。

本書の中心はなんと言っても第1部の、東京電力福島第1原発のメルトダウンをめぐるさまざまな動き。
この部分は全国民必読だといっても過言でないと思うのです。


他方、第2部、第3部は、東京電力の「救済」や浜岡原発停止をめぐる、経済産業省の暗躍ぶりを描いており、これも興味深い。
本書の描き方はかなり偏っているのかもしれないが、仮に本書を信じるとすれば、経済産業省って、ものすごい魑魅魍魎だらけということになってしまうのだけれど。
この部分の緻密な記述は、バブル経済崩壊から金融恐慌寸前の事態に至るまでの大蔵省(当時)と政治家の動きを描いた「経済失政」西野3部作を想起させるものがあります。
「検証経済失政」 橋本政権時の増税と拓銀・山一破綻を描く
 感想文はこちら → http://pu-u-san.at.webry.info/200812/article_48.html
「検証経済迷走」 金融機関への公的資金投入と長銀破綻を描く
 感想文はこちら → http://pu-u-san.at.webry.info/200812/article_50.html
「検証経済暗雲」 バブル崩壊による不良債権による東京2信組などの破綻を描く

ただし、この3部作の迫力に比べると本書はまだまだ掘り下げ不足ではないか、という感じもある。
この部分はもっと時間をかけてさらに緻密な事実検証を行った上で書くべきだったのではないか、と思うのです。

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