やられた。でも、きれいにまとまりすぎている。 ~ 「ビブリア古書堂の事件手帖」 三上延 著 感想文

どうしたのだろう。
最近、本を読んで泣いてしまうことが時々ある。
どうしたのだろう。
単に、爺むさくなってしまっただけなのかもしれないのだが。だって、昔から、爺は、涙もろいって言うじゃないですか。

今回も、また、泣いてしまった。

本作は、本屋関係者から絶大なる支持を受けているという宣伝が大々的になされている作品。確かに本屋さんでも長い間山積みになっているね。本をテーマにした小説、というのが、琴線に触れるのでしょうね。

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%93%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%8F%A4%E6%9B%B8%E5%A0%82%E3%81%AE%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E6%89%8B%E5%B8%96%E2%80%95%E6%A0%9E%E5%AD%90%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8%E5%A5%87%E5%A6%99%E3%81%AA%E5%AE%A2%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%B8%89%E4%B8%8A-%E5%BB%B6/dp/4048704699/ref=la_B004LTJ3V8_1_1?ie=UTF8&qid=1353730924&sr=1-1

画像


本作品の魅力は、何と言っても、病院の一室にいながらすべてを見通してしまう、アームチェア・ディテクティブたる栞子さんのキャラだろう。(といっても、好きで病院に籠もっているわけではなく、深刻な事件があったためなのだが。)
本の話になると活き活きとなってとうとうと語るのだけれど、それ以外については人との会話が普通にできないほど人見知り。このギャップが、読者の「守ってあげたい」心を激しくくすぐるのであろう。(あまりに「ねらっている」というのが伝わって来すぎるので、あざといと言えばあざといのだが。)
しかも、(といっても、男性読者にとってはきわめて重要な要素なのだが(笑))、とっても美人だということだし。めがねをしているというし(大笑)、さらに、○○という記述もあるし(爆笑)。オタク系な読者には、妄想が激しく広がって、大変ではないかしら。

それはともかく、本書は古書をめぐる4つの短編から構成されていて、最後の短編では、それまでの3つのお話に関連したことが出てきて、一応、きれいにまとまった世界ができあがっているのだけれど、この点については、話をきれいにまとめようとしすぎている感じがして、かえって気に入らない。無理にそんなこじつけをしなくても良かったのではないだろうか。


第1話は、漱石の「それから」
うううううむ。なるほど。
これって、ブラウン神父シリーズの、あの、有名なせりふを思い出させますよね。
ネタバレになるので、これ以上は書かないが。
「それから」を読み返したくなったね。

第2話は、小山清の「落穂拾ひ」
そうなんですよ!新潮文庫だけなんですよ!
その点は、中学生の頃から気になっていたのだけれど、今でもそうなんですよ。そして、きっと、文庫本の位置づけが変わってしまった(古典の廉価版→とにかく安い本)今日では、他の文庫がそういう方向に変更するはずがないのです。

第3話は、クジミンの「論理学入門」
「なるほど。」と思っていたら、さらにもう一つの展開がありました。
ううううううむ。
やられた。
そして、少し、泣いた。
ある意味では、理想の夫婦なのだろう。

第4話は、太宰の「晩年」
まあ、うまく作ってあるとは思うけれど、2時間サスペンスでも出てくるような話の作りであり、あまり気に入らなかった。
でも。
推理小説としてはともかく、青春恋愛小説としては。
あああ。
泣いてしまった。


全体を通しての印象なのだけれど、ほんのちょっとしたヒントからものすごい推理をしてしまうという点と、その何気ない行動の背後に、どろどろとした、知ってはいけない物語が隠されているという点で、北村薫の「円紫さんシリーズ」と似た感じか。
参考までに北村薫作品についての感想
短編集「空飛ぶ馬」の感想を分割して書いたのでした。
「織部の霊」ほか http://pu-u-san.at.webry.info/200811/article_27.html
「空飛ぶ馬」 http://pu-u-san.at.webry.info/200811/article_39.html
それと、日経で北村薫の記事が出た時の感想
http://pu-u-san.at.webry.info/200912/article_55.html

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